2005年08月29日

ふろおけ【風呂桶】

「風呂で使う桶」の意味。湯槽の意味で使われることに比べて頻度は少ないと思う。

例えば子育てが終わり、夫婦で風呂桶をオートバイのシートの下のトランクに入れ、気ままな温泉旅行を楽しむようなリターンライダー。(産経新聞大阪2005.8.26 14版 1面「待ったなし 人口減少時代 第6部 伸縮するマーケットに挑む」)

ヤマハ発動機販売のマーケティング担当者(50歳)の話。

『日本国語大辞典』には江戸時代の用例のみ。

玉木正之「祇園恋しや」『明治のべースボール 94年版べスト・エッセイ集』(「室内」五月号)
小さな風呂桶と手拭いを抱えた浴衣姿の舞妓が、襟足の後れ毛を気にしながら、コンコンと下駄の音を響かせて歩いていた。


ネット検索すると、通販で「風呂桶」の名で売られている。

足立巻一『やちまた』上 (新装版)p119
淋疾菌などが目にはいるとつぶれてしまうおそろしいもので、銭湯でよくかかるから風呂桶はよく洗ってから使うようになどと、おどされもした。
も、そうか。同書p296に
煙突目あてに銭湯をさがしだし、戸があくなりとびこんだ。そして、風呂桶をまくらにはじめてぐっすり寝こんだのである。
 からだを白くふやけさせて銭湯を出たとき、すっかり朝になっていた。

とあるのはどちらの意味か。からだがふやけているというのだから、浴槽で寝たのを「風呂桶をまくらに」と言っているようでもある。
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2005年06月05日

くちをにごす【口を濁す】

有吉佐和子「紀ノ川」(1959)第一部、
訊いた相手は瞬間迂潤な口をきいたかと後悔して、
「いやあ、なんでて、別嬪さんが嫁にきたさかいいうただけよし」
と口を濁した。


新潮文庫の百冊では、
山本周五郎『さぶ』(1963)十五の二の、
弁解するように云うだけで、どこへどんな仕事をしにゆくのかは、口をにごして語らなかったが、

の他、沢木耕太郎『一瞬の夏』に三例ほど。

新潮文庫の絶版百冊では、
福永武彦『死の島』(1971)の、
会ってどのような話が交されたのか、Kは口を濁していた。

円地文子『食卓のない家』(1979年?)「秋風行」の
「売れたってことでもないんだけど」
 と朗は口を濁して、


他に、星新一「どこかの事件」(?)。

言葉を濁す

この項は、「口を濁す」(黌門客20050604)に触発されて書いたものです。
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ことばをにごす【言葉を濁す】

女郎も
 り太郎か
あまり
  なかく
 いるゆへ
神がつて
 ことば
   を
  にこす
山東京伝『心学早染草』寛政二年(1790)
日本名著全集p300
p301「女郎も理太郎が餘り長く居る故、神がつて言葉を濁す」
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~okajima/uwazura/meityokibyosi/meityokibyosi12.pdf

現代のとは、意味がやや違うのかも知れない。「神がる」は「うるさがる」というような意味(『日本国語大辞典』の「神がる」にこの箇所を用例とする)。番頭が迎えに来たが、「帰らない」という理太郎。言葉を濁した女郎の言葉は「ほんにおとつさんおかゝさんがおあんじなんすだらふねへ わっちゃアどうもけへし申たくねへが どうしたもんだのふ」

やはり現代語と同じと見てよかろうか。
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2005年05月31日

でもに

中島謙吉『引伸写真術』大正12.7.15(同年12.20 16版による)アルス
ひと昔前の写真では、引伸が好事家の誰でもに、出来るものとは考へられなかった。
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2005年05月22日

しょしがく【書誌学】

谷沢永一『日本近代書誌学細見』和泉書院に、
書誌学の名称は何時からか。森銑三〈昭和33年〉があっさり解明している。
とある。森銑三の文献は何かと旧著述集を調べると、『日本古書通信』二十三巻八号(十三頁)の「書誌学といふ名前」であろう。旧著述集にははいっていないので、新著述集をみなければいけない(未見)。谷沢永一によれば、大正年間に森銑三が植松安の講義を聞いたとのこと。
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2005年05月20日

ゆてき【油滴】

http://www.nikkoku.net/tomonokai/toukou_card.html?snum=563

「目高敏隆」は「日高敏隆」のあやまり(私が間違えたのではないと思うのですが)。
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2005年05月19日

あいけんか【愛犬家】

公民読本第一編『家庭と犯罪』福岡刑務所長 江藤惣六述
大道学館出版部 大正15.2.10発行
p18
胎中影響の身体方面の効果については、西洋では八釜しく論ぜられたテレゴニー、即ち先天遺伝説の根拠となって居る事実と同じものであります。テレゴニーの事実は馬牛犬猫豚等に沢山な実例があり、愛犬家《あいけんか》は深く之を信じ、交尾期には余程警戒を厳重にするささう(ママ)であります。


http://www.nikkoku.net/tomonokai/toukou_card.html?snum=20797
http://www.nikkoku.net/tomonokai/toukou_card.html?snum=7321
http://www.nikkoku.net/tomonokai/toukou_card.html?snum=288
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ひのじがた【日の字型】

都筑道夫「扉」『びっくり博覧会』集英社文庫p46(初出は朝日新聞1981.2.15)
更地に、ドアがひとつだけ立っている。日の字がたの枠に上下二枚、うすっぺらな鏡板をはめて、ワニスの色も古びたのが、ドアがまちに囲まれて立っているところは、シュールリアリスムの絵のようだった。
posted by 岡島昭浩 at 12:52| Comment(0) | TrackBack(0) | は行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

どあがまち【ドア框】

都筑道夫「扉」『びっくり博覧会』集英社文庫p46(初出は朝日新聞1981.2.15)
更地に、ドアがひとつだけ立っている。日の字がたの枠に上下二枚、うすっぺらな鏡板をはめて、ワニスの色も古びたのが、ドアがまちに囲まれて立っているところは、シュールリアリスムの絵のようだった。


p48
私はドアがまちをまたいだ。
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2005年05月16日

オカマチック

『タモリのカセット面白術』21世紀ブックス(主婦と生活社)昭和52.2.10 p62
回転を遅くしたらどうなるか−−ためしてみるのが一番ですが、ここでは、なんとも、オカマチックになる場合をお話ししましょう。
posted by 岡島昭浩 at 16:48| Comment(0) | TrackBack(0) | あ行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月14日

(地名)っぽ

【薩摩っポ】
池田弥三郎『ゆれる日本語』p194
p61(「ノッペラポウ」)には、
天下の三宝、ミトッポウ、サツマッポウ、ハトポッポウという。
とあり。

【東京っぽ】
永六輔『坂本九ものがたり 六・八・九の九』中公文庫amazon

【水戸っぽ】
posted by 岡島昭浩 at 14:50| Comment(1) | TrackBack(0) | た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

きがきいてまがぬける【気が利いて間が抜ける】

和田垣謙三『兎糞録』大正2.7.14発行(大正2.12.2 16版による)、p72
気が利いて間が抜ける
 頓知は貴ぶべきものなれど、一歩を誤れば鈍痴に陥る。俗に「気が利いて間が抜ける」と云ふがごときは即ち鈍痴に属するものなり。
posted by 岡島昭浩 at 09:51| Comment(0) | TrackBack(0) | か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

みんかんごげんろん【民間語源論】

和田垣謙三『兎糞録』大正2.7.14発行(大正2.12.2 16版による)、p125
夫の小才子を猪口才と云ひ、また俗にヘナ猪口と云ふも、スモールネスを意味するにはあらざるか。識者或は之を民間語源論(Volksetymologie)なりと笑ふ事なきにしもあらざるべけれど、
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2005年05月01日

こうしょくじんしゅ【黄色人種】

黄色人種《くわうしよくじんしゆ》の盟主《めいしゆ》として、世界平和《せかいへいわ》の為《た》めに致《いた》さねばならぬ。

額田豊『安価生活法』大正4.7.9 政教社 p2
posted by 岡島昭浩 at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月25日

めがつら【目鬘】

戸板康二『新々ちょっといい話』文春文庫 p301。
博多にわかという方言でしゃべる喜劇がたのしい。この芸能は、目がつらをつけて演じるのだが、その目がつらが、せんべいになっている。


○「めかつら」「めかづら」とも。
posted by 岡島昭浩 at 08:23| Comment(0) | TrackBack(0) | ま行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月24日

連用形二度繰り返し(「とれとれ」の類)

山田太一『緑の夢を見ませんか?』(一九八三年一〇月一〇日 大和書房)9 p196 ト書き部分。
スプレーをかけかけの椅子とテープル。

(一九七八年六月二十一〜九月十三日 テレビ朝日で放送)
posted by 岡島昭浩 at 20:52| Comment(1) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月22日

どうぶんどうしゅ【同文同種】

東亜同文書院の開院式 同開院式は昨日午前十時より、新たに購入したる神田錦町の壮麗なる校舎構内にて挙行せり。式場は天幕を張り、卓子を排列して着席に供し、五十名ばかりの留学生は一様に洋服を着けて、中央に着席し、来賓はその左右に整列せり。席定まるや、近衛公は同文同種の義務を全うせんとしてこの院を設立して、今日の盛大を致したることを祝して、大いに留学生の奮発を促す旨を演説し、

〔1902.1.20 報知新聞〕(『明治ニュース事典6』による)

東亜同文会は、東京の万世倶楽部で発会式〔1898.11.5 日本〕


【同種同文】


安藤彦太郎『中国語と近代日本』岩波新書 p131
当時喧伝された「同文同種」(この言葉は日本の造語である。もちろん日本と中国は同文同種ではない)的観点とはことなって


陳舜臣・陳謙臣『日本語と中国語』徳間文庫 p54
『同文同種』そのものは、代表的古典のなかに見あたりません。おそらくこれは、日本のいわゆる『支那浪人』たちが、中国人に親愛の情を示すために用いはじめたのでしょう。
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どうしゅどうぶん【同種同文】

大きなる所より着眼すれば日韓は原来同種同文の国にして祖国を同うし、言語の系統を同うし、
   山路愛山「韓国の政党及其領袖」『太陽』第一六巻二号 1900.8.1
posted by 岡島昭浩 at 00:49| Comment(0) | TrackBack(1) | た行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

よこもじぶんか【横文字文化】

現在の文化は一言にして云へば,漢字文化であると断じても過言で無いのである。ところが明治以来、欧風心酔の風は漢字文化への圧迫と成り漢字廃止論や漢字制限論が現はれるに至り、横文字文化にかぶれ、横文字を有難がる連中は、漢字を蔑視若しくは敵視するに至つたのである。

 岡田希雄「一流無辺訥語―岡井(慎吾)博士の日本漢字学史を読みて―」『立命館文学』2-4(1935)

文字文化
posted by 岡島昭浩 at 00:36| Comment(0) | TrackBack(0) | や行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月21日

かつじぶんか【活字文化】

花田清輝「小説平家物語」
わたしは、日本の活字文化の開拓者の伝記に熱心する、かれの同類である三人のプロレタリア・インテリゲントたちのなりぶり構わぬすがたに心をうたれた。


花田清輝「革命芸術と伝統」にも。「文学そのものが活字文化時代のマス・コミ芸術である以上」

漢字文化
posted by 岡島昭浩 at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | か行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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